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210_IFRS第1号 国際財務報告基準の初度適用 Archive

IFRS初度適用に向けた課題

IFRS初度適用に向けた課題として、現時点で最も大きいと考えられるものは、IFRS開始財政状態計算書の作成にある。
IFRS開始時財政状態計算書は、IFRS移行日において作成されている必要がある。

図は2015年3月期をIFRS初度適用とした場合の例。

IFRS移行日におけるIFRS開始財政状態計算書の作成にあたり、IFRS第1号では以下の要求を行っている。(IFRS第1号10項)

 1.IFRSにより認識が要求されている資産および負債を「すべて認識」する。
 2.IFRSの認識基準を満たしていない資産および負債は認識しない。
 3.従前に適用していた会計基準とIFRSにおいて資産、負債または資本の構成要素としての分類が異なる項目は、IFRSの規定に合わせた組替えを行う。
 4.認識されたすべての資産および負債をIFRSに従い再測定する。

上記要求は、IFRS開始財政状態計算日時点における、すべての資産・負債をIFRSにもとづいて適切に処理するため、必要な期間遡及してIFRSを適用しなければならないことを意味している。

遡及の理由

IFRS開始時財政状態計算書を遡及して作成するのは、開示財務情報の信頼性や比較可能性等を確保するためである。

遡及適用免除規定

IFRSの初度適用時には、企業に必要以上に過大なコスト負担とならないよう一部の遡及会計処理に免除規定が設けられている。
IFRSの初度適用企業は免除規定を①すべて利用か、②任意の項目のみを選択して採用できるが、③他の規定に類推適用することはできない。とされている。(IFRS第1号18項)

適用免除規定

(1)企業結合

 企業がIFRS移行日(開始財政状態計算書日)より前に認識した企業結合に関しては、IFRS第3号「企業結合」を適用しないことができる。ただし、遡及適用する場合には、遡及適用以降全ての企業結合について、改定IAS第27号「連結財務諸表および個別財務諸表」を
 同時に適用しなければならない。

(2)有形固定資産、投資不動産、無形資産のみなし原価

IFRS初度適用企業は、IFRS移行日(開始財政状態計算書日)現在で、有形固定資産や投資不動産(原価モデル)、無形固定資産については公正価値にて測定し、それらをもってみなし原価として使用することが認められている。

(3)従業員給付

 IAS第19号「従業員給付」では、確定拠出年金制度を採用している企業においては、見認識の保険数理差異を「回廊アプローチ」により遡及適用することとなるが、IFRS初度適用企業は当該制度の開始日からIFRS移行日までの保険数理差異の累積額をIFRS移行時に一括認識(期首の利益剰余金に計上)することができる。

(4)在外子会社などの為替換算調整勘定

 IAS第21号「外国為替レート変動の影響」では、在外子会社等の為替換算調整勘定の累積額を資本の部で認識し、当該投資が処分された時に処分損益に含めて処理することが要求されている。
 しかし、IFRS初度適用企業は、IFRS移行日時点のすべての在外子会社の累積換算差額を0とみなし、従前のGAAPに従って認識された累積換算差額をすべて利益剰余金に振替える例外が認められる。この場合将来的に当該投資が処分されたときの処分損益には、IFRS移行日以後の累積換算差額のみを含めることとなる。
 

(5)複合金融商品

 IAS第32号「金融商品:開示および表示」は、複合金融商品について、当初発行時に負債と資本に区分処理することを要求しているが、 IFRS移行日現在においてすでに負債部分が決済済みの複合金融商品については、遡及して負債および資本に区分する必要はない。

(6)以前に認識した金融商品の分類の指定

 IAS第39号「金融商品:認識及び測定」は、当初認識時に金融商品を売却可能なものとして指定すること、または一定の要件を満たすことを条件に損益を通じて公正価値で測定する金融資産または金融負債に指定することを認めている。しかし、IFRS初度適用企業は金融商品の当初認識日ではなく、IFRS移行日において選択適用を行うことを認めている。

その他の例外規定は以下のとおり。
 1.IFRS第2号「株式報酬」の適用
 2.IFRS第4号「保険契約」の適用
 3.IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判定」の適用
 4.親会社が個別財務諸表を作成する場合の、子会社、関連会社、ジョイントベンチャーへの投資の取扱い
 5.親会社と子会社とで国際財務報告基準の初度適用会社となる時期が異なるケースの取扱い
 6.「初日」の損益に関する取扱い
 7.IFRIC第1号「廃棄、復旧及びそれらに類似の負債の変動」に関連する取扱い
 8.IFRIC第12号「サービス譲与契約」に関する取扱い
 9.借入費用の取扱い

遡及適用の禁止

遡及適用することによりIFRS開始時財政状態計算書を歪める可能性があるため、下記の4項目については、IFRS開始時財政状態計算書作成時にIFRSの遡及適用を禁止している。(IFRS第1号13項)
4項目とは、
(1)金融資産および負債の認識の中止
(2)ヘッジ会計
(3)見積り
(4)非支配持分
となっている。

従前GAAPからの移行には、相応の負荷が予想される。
十分な準備のもと免除規定を有効活用していくことが実務上は重要なポイントと考えられる。

参考:IFRS、何をすべきか?どこまでやるか?

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IFRS第1号_国際財務報告基準の初度適用について

IFRSでは、IFRSを初めて正式に適用する企業に対して規定を設けていて、これがIFRS第1号、初度適用と呼ばれる。
IFRSを適用する企業は、必ずこの規定にしたがって初年度の財務報告を作成する必要がある。
ちなみに英文では、IFRS 1 FIRST-TIME ADOPTION OF INTERNATIONAL FINANCIAL REPORTING STANDARDSとなる。

初度適用時には、適用開始日(前期期首)の財政状態計算書および過去2期分(前期および当期)の財政状態計算書、同じく過去2期分の包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主持分変動計算書と関連する注記を、IFRSに準拠して作成する必要がある。

日本におけるIFRS強制適用の時期は現段階で未定だが、2012年度に強制適用の判断が行われるとされている。
仮に2015年3月期が企業のIFRS適用初年度とすると、2014年3月期、2015年3月期の2期間についてIFRS財務諸表のでの開示が必要と定められている。(IFRS報告期間)

また、この場合、2014年3月期の財政状態計算書の期首残高、すなわち2013年4月1日時点でのIFRS開始財政状態計算書の作成が必要となる。さらに、2015年までの間、正式な財務報告は日本基準で行うことなるため、2014年度までは日本基準とIFRSという2つの基準で財務諸表を作成する必要がある。会計基準を日本基準からIFRSに切り替えるだけでなく、IFRS、国内基準と2つ基準での財務報告が必要となるため、業務負荷の増加が懸念されている。(同期間において四半期決算、連結・個別財務諸表双方の開示、更には内部統制も求められる。)初度適用に際しては、遅くてもIFRS適用を開始する2年前の期初をターゲットとし、それに合わせた準備が必要となるといえる。
参考:IFRS、何をすべきか?どこまでやるか?

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